売れなくても儲かる自費出版(共同出版)システム [ブログ]
インチキ文芸賞に応募が集まる理由
「そうだな。それでもプロは一応は本を出すにあたっては出版社から金が支払われる。売れなかったら出版社が損をかぶる。ところがうちの客たちは自分で金を出す」
「売れなくてもうちは儲かるということですね」
「そういうことだ」
「でも、よく自分の本を出すのに百万とか二百万とか簡単に払いますよね」
「あいつらはそれくらいの金は回収できると思っている。ベストセラーになれば、簡単にお釣りが来ると思っている」
「小説だと、十万部くらいは楽にいけると思っている。うまくすれば百万部も夢じゃないと」
「夢を売る男」 1 太宰の再来 より (33~36ページ)
本を出せば出版社はその本が売れるように営業してくれるものと著者は期待する。しかし、出版社にとっては、売れそうもない本を売る努力などするはずがない。そもそも、自費出版(共同出版)の会社は、売れなくても儲かるようになっている。むしろ、売れれば倉庫から出して発送しなければならず、余計な手間がかかる。
牛河原の勤める丸栄出版では、全国117店舗の書店と契約しており、そこに30日陳列するという。これは、著者に対して営業努力していることを示すものであるのだが、売れなかった場合、出版元の丸栄出版が買い取ることになっている。書店にとっては極めて都合のいい取引と言えるが、売れなかった本の買取り費用は、著者が支払った出版費用に含まれている。 ⇒ 139ページ
本を出したいという顧客がいるために自費出版(共同出版)の会社の経営は成り立つ。しかし、一人でも多くの人に読んでもらいたいという著者の思いとは反対に、出版社は、そういう顧客を「カモ」としてしか見ていない。まったく顧客を馬鹿にしている。著者は怒るべきだ。