才能のない著者が出版社のカモとなる(?) [ブログ]
「小説を書く奴なんて、たいてい頭がおかしい」
「自分でこんなことを言うのも何ですが、なぜ、みんな簡単に僕たちの口車に乗って百万円以上の大金で契約するんでしょう?」
会社近くの鰻屋の個室で荒木は牛河原に訊いた。二人とも特上のうな重を食べている。
「小説を書く奴なんて、たいてい頭がおかしいんだ。嘘だと思うなら、一度三百枚くらいの小説を書いてみたらいい。絶対に最後まで書き切れないから」
「つまり最後まで書き切るというのは、そのあたりの神経がどこかおかしいんだ。自分の作品が傑作と信じ切れる人間でないと、まず最後までモチベーションを維持できない」
「まあ、本物の小説家というのも、その点では、似たり寄ったりの人種だろう。ただ、俺たちのカモと本物の小説家が違うのは、才能があるかないかということだけだ」
「夢を売る男」 1 太宰の再来 より (31~33ページ)
顧客の面前では「お客様は神様です」みたいに神妙であっても、出版社にとってはその「神様」がまさに「カモ」であるという訳である。
その口車に乗る「神様」がいるからこそ出版社は、その企業活動が成り立つ。そこで働く社員の生活の一面を支えてもいる訳である。くれぐれも顧客は大事に扱って貰いたい。間違っても顧客をクレーマーにしてはいけない。
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