東日本大震災から3年と5ヶ月   [東日本大震災]

震災を経て感じた飲食店の役割
 


震災から2週間足らずの2011年3月25日。原発事故対策に関わる人たちの前線基地になっていたいわき市には、緊迫した空気が流れていました。沿岸部では、津波被害者も多数でており、ほとんどの飲食店は営業を見合わせたままでした。

「やきとり大吉」のマスター正木聡さんは、家族を一時避難させましたが、いわきに戻って店の再開準備を始めました。「こんな時期に店を開けても誰も来ないだろうし、何を考えているんだ?と批判されるかもしれない」と考えましたが、店の提灯に明かりをともしてのれんを上げました。

いわきに残っていた常連客や友人が、店の明かりに吸い寄せられるように集まり、あっという間に満席となりました。店にやって来た正木さんの友人が席につくなり「家族が流されてしまった」と頭を抱え、話しながら感極まって涙を流しはじめました。

たまたま隣あわせになったお客さんが「うちも家族と会社が流されて、どうしていいのかわからない。でも自分の命はこうして残ったんだから、とにかくがんばろうやっ!」と声を掛け、背中をどんとたたきます。
  

この日ばかりは見知らぬお客同士も他人と思えぬ雰囲気で、お互いを励まし、支え合う姿が店中に広がっていました。

東北まぐ37号 (2014.8.11 配信) より

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