小説家の世界 2 [ブログ]
売れない作家の苦しい生活の実態
「牛河原さんって言ったね。あんた、小説がわかってるね」
「綿貫先生の小説は全部読んでいます。丸栄文庫で綿貫先生の若い時の魅力をより多くの読者の知らせたいと思っています」
「まあ、復刊するならするでいいけどね。今の若い人たちに俺の本がわかるかなあ」
「綿貫先生、どうか読者に失望しないでください。また是非新作を書いてください」
「まあ、もう一度読者に対して期待を抱くことができたら、書いてもいいけどね」
ホテルを出てタクシーに乗った途端、荒木が「見た目が貧相な作家でしたね」と言った。
「ああ、生活に疲れている感じだったな」牛河原が言った。「昔は現役イケメン大学院生として注目されたが、今はただの中年男だからな」
「でも、読者に失望して書かないなんて、一つの美学ですね」
「美学なもんか。まったく売れないから、どこの出版社も出してくれないだけだ」
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小説家の仕事で食べていく
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小説家というしごと ~あるミステリー作家の実態~ その1
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