笑い事ではない出版社の内部事情   [ブログ]

不正を正すために内部告発すべし

 
 「それじゃあ、待っています」

 牛河原が電話を切ると、机の横に立っていた荒木が笑いながら、「一丁上がり、ですか」と訊いた。

 「七割方はいけるだろうが、本人は学生だから金は持ってない」

 「すると、親ですね」

 「そういうことだ。親にとっては頭の痛い息子に違いない。三流大学で、いまだに就職も決まらず、一獲千金を狙って小説なんぞを書いている。でも今夜、息子の話を聞いて腰がぬけるくらい驚くだろう。何しろ、千二百十七編の応募作の中で最終の七編に残ったんだから」

 「千二百十七編って、ちょっと盛りすぎじゃないですか」

 「ホームページにはそう発表することになっている。こういう数字はでかいほどいいんだ」
 
荒木はにやにやしながら、「その選考をくぐり抜けるとは、すごいということですね」と言った。

 「明晩、もう一度電話して、今度は父親と直接話す」

 「それで決まりですね」

 「まあな」と牛河原は言った。「困った馬鹿息子と思っていた子供に小説の才能があったんだ。出版社の編集者に褒められて、疑う親はまずいない。親というのは、どんなに出来の悪い子供でも、本当は素晴らしいところがあると信じているからな。まして大事な一人息子だ」
 荒木が大笑いした。

      

「夢を売る男」 1 太宰の再来 より (28~29ページ)

去年8月、秋田書店が、誌面上で実施したプレゼント企画において、当選者数を水増しし、実際は誌面上に掲載された当選者数を下回る数の景品を発送していたことが発覚した。同様のことは6年前から行われていたという。

秋田書店は、消費者庁から読者に誤解を与える悪質な行為だとして再発防止命令を受けた。しかし、同様の例は他社においてもあるはずだ。秋田書店の不正は、社員による告発によって発覚した。しかも、秋田書店はその社員を解雇した。

秋田書店に言わせると、解雇の理由は「元社員が賞品をほしいままに不法に窃取した」ためだという。真実はどこにあるのか。秋田書店の主張は極めて疑わしい。

      

秋田書店が読者プレゼント水増し問題の告発社員を解雇。告発した女性社員(28)が撤回求め提訴 

http://matome.naver.jp/odai/2137706863004324501
   

【社告】毎日新聞の報道に対する弊社の見解について(平成25822日改訂)
http://www.akitashoten.co.jp/news/201
 

内部告発の意義
http://mondai-kaimei2011.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08
 

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