検証 「真夜中の看守長 ルナーミッション」 5 [ブログ]
川上は、一瞬、耳を疑った。彼は更生したはずだ。公判中も、少年院へ入所中も、絶えず手紙のなかで、「川上先生との約束は、絶対守ります。先生だけがいつも自分を信じて励ましてくれた。それに報いるためにも必ず更生します」と、誓っていたのだ。
彼と川上は、接見中も明るい笑顔で語り合った。また、担当教官から少年院での生活態度は比較的良好で、成績も上位だと言われた。教育・更生を目的とした「少年法」に、あらためて確固たる信頼を持っていたのだ。
「将来ある少年の人権を守り、更生への道へと導く」という少年法の理念にもとづき、罪を犯した少年たちを弁護することで、彼らを更生させ、社会正義の実現という「弁護士法第1条」を貫徹する、と信念を抱いてきた。
「真夜中の看守長 ルナーミッション」 (河村龍一・著 119~120ページ) より
かつて、全国犯罪被害者の会代表幹事や日本弁護士連合会副会長を務めた岡村 勲弁護士が、まさにこのストーリーと同様の悲惨な経験をした。
「1997年、仕事の上で私を逆恨みした男によって妻が殺害されました。弁護士生活38年目にして犯罪被害者の遺族となって、被害者や家族がどんなに悲惨で、不公正な取り扱いを受けているかということを、初めて知りました。加害者の人権を守る法律は、憲法を始め詳細に整備されているのに、被害者の権利を守る法律はどこにもありません」と、被害者の会のホームページで語っている。
被害者の立場になった時、死刑反対という主張を貫くことができるなら、その主張は説得力を持つ。しかし、やはり、その当事者になった時に、加害者の死刑を求めるのは人として無理からぬことである。死刑に反対していた人がそうなったとしても誰もそれを非難はできない。死刑制度を痛切に批判しているK氏も、自分が被害者の立場になった時にはどうなるかはわからないと言っている。
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鋭い指摘の的確な書評 [ブログ]
悪意を持っただれかが、全く無関係の第三者のコンピュータを遠隔操作して犯罪を行い濡れ衣を着せる。それに対して警察は自白を迫るというフィクションです。
これについては特に記載がありませんが、実は重要なテーマです。今のコンピュータ犯罪を取り締まる法律は主に個人情報保護法、不正アクセス禁止法、著作権法がメインです。電磁記録改ざん云々という法律もあったような記憶がありますが、それでは足りないということで不正アクセス禁止法が成立されたという経緯だったはずです。本書で書かれているような犯罪は不正アクセス禁止法で取り締まられるように思われるかもしれませんが、この法律は他人のアカウントを不正に取得して犯罪を犯したり、サーバに侵入したりという犯罪を想定した作りだったはずです。個人のコンピュータの遠隔操作を想定した法律は確かまだ制定されていません。なので、この本でも最後に真犯人がどの法律に基づいて逮捕されたかが記載されていません。これについても解説では何も書いてありません。(法律関係に詳しい人がこのレビューにコメントを下さること歓迎)
3. 警察の捜査が自白を重視しすぎており、証拠主義がないがしろになっている。
同じようにクライマックスのない、平坦な最後は白々しいです。途中で全く意味のないラブシーンが3行ぐらい書いてあったりすることも興ざめです。
苦言が続きましたので、この本を読む代わりに読むべき本をいくつかあげておきます。
カスタマーレビュー より
投稿者は、実に厳しく指摘している。こういう指摘を受けた著者は、身の置き場がないのではないか。投稿者は、著者だけでなく出版社についても厳しく批判している。その指摘はまさにその通りだ。どうしてもっと綿密に校正しなかったのか(できなかったのか)と思わずにはおれない。
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新聞記者OB・中村仁さんの怒り [ブログ]
文芸春秋社は宣伝、話題作りが上手です。話題になりやすいよう受賞作品を決めていますね。そのことにも文句はありません。文芸振興のためにそのくらいの努力は必要です。
プロ野球でも、ドラフト一位が決まった入団する新人選手はそれなりに大きな紹介記事を書いてもらっています。かれらが本当に大成するのかどうかは、プロの世界で実際にプレーしてみてからでないと分りません。スポーツ記者はそのことをよく知っていますから、記事には節度を感じます。芥川賞、直木賞は野球にたとえれば、ドラフト一位ということでしょうか。
イチロー選手のように、日米通算で安打数の大記録を達成したときは、一面、運動面、社会面の記事で破格といっていいほどの扱いを受けました。実績、記録をみて、ニュース価値の判断をしていますよね。
文学界ではどうでしょう。なんだ、あんなに大騒ぎをしたのに、その作家はいつの間にか姿を消してしまったではないか。そんなことがたびたび起きると、文学に対する関心を失ってしまう読者を増やす結果を招いているような気がしてなりません。
http://blog.goo.ne.jp/jinn-news/e/dcc1799c6eb58b8645679715ce29b916 より
中村 仁さんは、ある新聞社で長く経済記者として勤務。2013年退職し、それを契機にブログ活動を開始した(2013年8月)。文学の愛好家ではないというが、その指摘は的を射ている。
芥川賞や直木賞を筆頭に様々な文学賞があるが、それぞれその存在理由は異なる。無名の新人を対象とする文学賞を受賞することは、作家を目指す人の大きな励みとなる。「真夜中の看守長 ルナーミッション」の河村龍一も日本文学館主催のコンテストで「特別賞」を受賞した。そのことで彼が初めて本を出版することにつながり、さらには第二弾の「闇サイト殺人事件の遺言」の出版につながった。
中村さんには今後、記者として書けなかったことをぜひブログで書いて貰いたい。
パソコン遠隔操作事件 9 [情報]
片山被告は、荒川の河川敷でスマホを埋めているのを捜査員に目撃されていた。誰にも見られていないことを確認して埋めたはずだが、片山被告は油断していた。どれほど深く穴を掘って埋めたか知らないが、まさにそれは「墓穴」と言えるものだった。
保釈された後、片山被告が何もせずに裁判に臨んでいれば無罪になったかもしれない。しかし、片山被告は己の「冤罪」を晴らそうと余計なことをした。冤罪を信じていた弁護団にとってはその行動は信じられないものだっただろう。
片山被告が自己顕示欲が強いことを考慮すれば、片山被告が今回のような行動を起こす可能性は予見できた。万が一のことを考えて、弁護士が片山被告に行動の自粛を促していれば今回のようなことにはならなかったのではないか。さぞかし弁護団にとっては、苦々しい思いでいっぱいだろう。
弁護団に隙があった一方で、捜査側には綿密な計算があった。片山被告が自分が犯人ではないという証拠を捏造することは充分に予見できたからこそ、その身辺を厳重に見張っていたのだろう。検察・警察の大勝利だ。
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片山祐輔被告が墓穴掘りすぎ。メール自作自演発覚で検察に証拠提供、1000万没収、脅迫罪も追加! http://garoll.net/entry/107912
あなたのパソコンは,じつはだれかに乗っ取られて,知らない間に犯罪に加担しているかもしれない http://gihyo.jp/book/pickup/2013/0091
https://www.youtube.com/watch?v=YnHbHtSpEpg
パソコン遠隔操作事件 8 [情報]
パソコン遠隔操作事件で逮捕されて公判中であった片山祐輔被告(32歳)がついに「自分が真犯人」と認めた。逮捕されたのが去年2月10日。今年3月5日に保釈された後、22日に起訴された。
片山被告は、「自分は事件には一切関与していない。真犯人は他にいる」と身の潔白を主張していた。しかし、保釈後の片山被告の行動を監視していた捜査員が、「真犯人」からのメールが届いた前日に片山被告が荒川河川敷で何かを埋めるのを目撃していた。現場を調べたところ、スマホが埋められていた。これに「真犯人メール」の文面の発信記録があり、スマホの付着物が片山のDNAと一致した。
身柄が確保されているときに真犯人から何かのメッセージがあればそのことで容疑は晴れた。しかし、片山被告はそのことを保釈された後に自作自演して己の無実を証明しようとした。自己顕示性の強いことからそのことは予想できた。案の上、その通りになった。そして、墓穴を掘った。実に愚かと言わざるを得ない。
片山被告の弁護団はその無実を主張していた。しかし、今回の件でその面子は丸つぶれとなった。場合によっては新たな冤罪を生みかねなかった。それだけに、警察の粘り強い捜査により検察・警察の面子は保たれた。「疑わしきは被告人の利益に」というが、疑わしい限りは徹底した捜査が必要なのはいうまでもない。
パソコン遠隔操作・片山祐輔「起訴」できるのか?法廷でもうすら笑い
http://www.j-cast.com/tv/2013/02/27167117.html?p=all
弁護人が冤罪を主張するこれだけの理由―PC遠隔操作事件
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yanaihitofumi/20130324-00024029
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「【PC遠隔操作ウイルス事件】片山祐輔氏に生直撃」 [You Tube]
https://www.youtube.com/watch?v=YnHbHtSpEpg
2014/03/14に公開
再生回数 5,190 回 (2014.5.20 18:00 現在)
<出演>
片山祐輔
「PC遠隔操作事件」の被告人。現在公判中。
佐藤博史
片山祐輔氏の弁護団の弁護士。
千葉工業大学理事。早稲田大学法科大学院客員教授
足利事件の主任弁護人を務め、2010年、無罪を勝ち取った。
聞き手:
江川紹子Twitter→@amneris84
ジャーナリスト。神奈川新聞記者を経てフリーに。
オウム真理教の報道で登場し、以来
司法、政治、災害、教育、カルトなどの分野で活躍している。
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【PC遠隔操作事件】片山祐輔氏 保釈後 記者会見ノーカット (34分)
https://www.youtube.com/watch?v=xojBTlz5XFc
【裁判 解説】「パソコン 遠隔操作事件」片山 祐輔 被告 初公判! (60分)
https://www.youtube.com/watch?v=8JFoQUSVOvQ
SS22 落合洋司 ×三上 洋×江川 紹子×崎山 敏也 「PC遠隔操作事件」 (61分)
「刑政」 4 [出版]
矯正運営の基盤~職場環境の改善と人材育成
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作家になる方法 [ブログ]
安易な出版の誘いには要注意
純文学の新人に与えられる文学賞として最も名前が知れ渡っているのが芥川賞だ。受賞するとテレビや新聞で大きく取り上げられ、一躍有名人となってしまう。無名の作家がその受賞を目指して奮闘するのは無理はない。
芥川賞の他には、文學界新人賞、 群像新人文学賞、オール讀物新人賞、江戸川乱歩賞とかある。しかし、一般には名も知られないような文学賞は数多い。その中には、実に詐欺まがいとも言えるものもないではない。
ある出版社では、かつて年間30件もコンテストを催していたという。「受賞すれば本を無料で出版できます」という甘い言葉で原稿を募集。受賞しなかったにもかかわらず、素晴らしい内容なので出版してみませんかという、自費出版の誘いには気をつけなければいけない。
自費出版を売り物にしている出版社は、出版の契約を取り付けることができれば、その時点で利益を確保する。本が売れようが売れまいが関係ない。そもそも、無名の作家の本で話題性のないものが売れるはずがない。だからこそ、その本を売るための営業努力などしない。「全国の有名書店に陳列されます」と言っても、それはその書店に手数料を払って置いて貰っているだけだ。
中には、受賞すれば本を無料で出版できるだけでなく賞金が100万円というものもある。しかし、応募するには作品の選考料として1作品につき12,800円が必要だという。これなど、作品の審査に慎重であるということかもしれないが、選考料で利益を得ようとしているという見方もできる(果たしてどれほどの応募があるか知らないが)。
いずれにしても、本を出したいという個人の思いを金儲けに利用する出版商法には気をつけたい。本を出版して「作家」と名乗ることができても、それで生活していける保証はどこにもない。
NOVELSS賞
NOVELSS(ノベルス)が開設する、プロ作家、プロクリエイターへの登竜門です。対象となる作品のカテゴリー(分野)は問いません。受賞後は、すぐに大手メディア各社が参加する競争入札にかけられ、プロデビューが決まります。
http://shinjinsho.seesaa.net/article/22621638.html より
http://www.nihonbungakukan.co.jp/modules/tinyd1/index.php?id=322 より
「極限推理コロシアム」 矢野 龍王 [ブログ]
稚拙な文章による緊張感の喪失やリアリティの欠如
なぜなら、題材はよいので脚本を腕のある人に書き換えてもらえばかなりよい作品になるのではないかと思うからである。しかし、このような考えでよくない作品にお金をかけてしまう点は自己反省すべきであるが。
しかし、なぜこの作品がメフィスト賞なのか。まったく納得できなかった。非常に残念である。しかたがないので、今後文章力などが向上してくれることを期待する。
講談社が新人の作家のために設けた文学賞がメフィスト賞(1996年~)。京極夏彦氏が作家としてデビューする前に、暇つぶしとして講談社に原稿を持ち込んだところ、すぐに講談社ノベルスとしての発売が決定。無名の新人であっただけに衝撃は大きく、これを機にメフィスト賞が創設された。
創設当初から賞金は存在しない。しかし、受賞することがそのまま出版につながるため、単行本の印税が賞金代わりとなる。受賞した作家にとってはまさにその将来を嘱望された形となり、作家活動を推進することになる。まさに新人の作家を発掘し育成するための賞といえる。
その第30回受賞作品が「極限推理コロシアム」。ネットで公開されている書評では総じて評価はよくない。しかし、テレビドラマ化され、それはDVDにもなって発売されている。新人であることからその力量に足りないところがあるの無理もない。受賞をバネとしてその期待に応えて貰いたい。
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お粗末なストーリー展開の推理ドラマ [ブログ]
(作成日時 : 2013/01/06 13:53)
http://chorus-myoon.at.webry.info/201301/article_1.html より
3日放送の「土曜ワイド劇場」(テレビ朝日)も実にお粗末なストーリー展開だった。そのタイトルは、「西村京太郎サスペンス 鉄道捜査官 伊豆急リゾート21号 パノラマ展望車で殺された女! 箱根ゴールデンルート 空と湖の逆転アリバイトリック」。
原作は、「十津川警部捜査行ー愛と殺意の伊豆踊り子ライン」(西村京太郎・著)。“伊豆急「リゾート21」の証人” に非ず。
番組終了まで30分もあるのに事件解決? そのはずはないと思っていたら、案の定、真犯人は別にいた。終盤のシーンで関係者が一堂に集結した上で謎の解明。その場に全員が集結しなければならない必然性が不明。
予想外の人物が真犯人というのがよくあるパターンだが、その犯行理由がまたしてもあまりにも現実離れしていて説得力不足。そんなに簡単に人を殺すかよって感じ。2時間の放送枠という制限があるために細かい描写ができないのはやむを得ないところもあるが、その安易な番組制作の姿勢には賛同できない。
突っ込みどころ その1
石川宏美(社長秘書)が、「犯行のあった車両から走って逃げ去る女を見た」と虚偽の証言をする。似顔絵からその女は水谷美香(雑誌記者)であることが判明する。しかし、水谷にはアリバイがあった。そこで、なぜ嘘の証言をしたのかを問われると、水谷に社長を取られてしまうことを恐れていたという。
そこで水谷を犯人にしてしまうべく虚偽の証言をした訳だが、その発想が実にお粗末極まりない。水谷に社長を取られるのではないかという恐れを抱くことはあり得るとしても、水谷が殺人を犯す理由はどこにもない。ましてや、水谷にアリバイがあるとなると虚偽の証言をすること自体が不自然。
突っ込みどころ その2
水谷美香は、暗い夜道を歩いている時に殺害されそうになる。襲われた瞬間に運よく(?)通行人の叫び声によって命拾いする。犯人は社長の富永健一郎であることが後に判明するが、その動機が説得力を欠く。
富永は、スキャンダル記事を書かせる目的で水谷を利用した。しかも、それは顧問弁護士の谷浜康雄からの情報提供であるかのように偽装していた。水谷の口を封じる必然性がどこにあるのか。
突っ込みどころ その3
谷浜康雄の妻・梨絵が謎解きの場面に登場する。しかし、その理由が判然としない。富永の車に同乗していたのか(様子を見るために出て来た?)。そもそも、謎解きのシーンの状況設定が不自然。富永が秘書の石川の口封じをしようとする時になって、「そこで何しているんですか、富永さん」と、花村乃里子(鉄道捜査官)が岩かげから姿を現す。
伊豆急リゾート21号 パノラマ展望車で殺された女! 箱根ゴールデンルート 空と湖の逆転アリバイトリック http://www.tv-ranking.com/program/?bid=494753
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