検証 「いま、なぜ死刑廃止か」 4   [ブログ]

威嚇力に関する研究
 
    
  死刑に抑止力がないことについて、要領よくまとめた論文が最近出た。カナダのシモン・フレーザー大学・ファタ教授の『死刑は独特の抑止力をもつか』という論文である。ファタは死刑に抑止力があるかないかという問題のたて方は正しくない、死刑は他のなにものにもおき換えることができない抑止力をもつかどうかを問うのが問題のたて方であるとする。もし他の方法でおき換えることができるならば、人間の生命を絶つことは許されないことであるとする。
    そしてファタによると、現在の死刑制度を支えているのは、死刑に抑止力があるという主張だけであるが、19世紀の後半から現在までの重要な研究によると死刑は殺人事件を減らすに役立っているという説明はできていないという。
     かれによると、抑止力の問題は、第一に、死刑執行数が減少すると殺人が増加するかどうか、第二に、死刑を廃止した州で殺人が増加したかどうか、第三に、アメリカの死刑廃止州はそれに隣接し、文化程度のよく似た存置州よりも殺人事件が多いかどうか、第四に、アメリカの死刑廃止州では、存置州よりも警察官殺害事件が多いかどうか、第五に、よく知られた殺人犯罪について、死刑執行が、ひろく公表されたのちに、殺人犯が減少しているかどうか、この五つに分類できるとする。
     
そして、もし抑止力があるとすれば、この五つの全部が肯定的な結論にならなければならないはずであるとして追跡調査をした。
     
その結果、 (中略)

      以上のように、ファタの仮説はことごとく否定された。もっとも、これでも抑止力がないと断定することもできない。抑止力を信ずる者は、その前提条件として殺人犯がすべて逮捕されているということがなくてはならないが、暗数が存在する以上は、ファタの仮説の否定も、つまるところ仮定の問題だということになる。

「いま、なぜ死刑廃止か」 (菊田幸一・著 57~59ページ) より      
 
抑止力を信ずる者は、その前提条件として殺人犯がすべて逮捕されているということがなくてはならない  
   
主語と述語が対応していない。ここは、「抑止力を主張するには」とすべきではないか。しかし、「殺人犯がすべて逮捕されているということがなくてはならない」という前提条件も???だ。なぜそれが前提条件になるのか。
 

暗数 実際の数値と統計結果との誤差で、なんらかの原因により統計に現れなかった数字の事。主に犯罪統計において、警察などの公的機関が認知している犯罪の件数と実際に起きている件数との差を指す(英:Dark Number)。 

 
  
  
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