検証 「真夜中の看守長 ルナーミッション」 2   [ブログ]

未決拘置所
 
 

  「申告いたします。法務事務官看守部長原田誠二は、本日、仙台東拘置支所勤務を命ぜられました。謹んで申告いたします」    
    原田は拘置支所長に赴任の申告をした。
  「まあ、原田君。東北刑務所ではいろいろあったようだが、左遷などと思わず、心機一転、勤務に励んでくれ。拘置所の勤務は初めてらしいが、これから施設内を小山主席が案内しながら説明する。それと、これも上からの命令で君には気の毒だが、死刑囚拘置区で勤務してもらう。がんばってくれ」
    死刑囚拘置区勤務が気の毒とはどういう意味だ。そんなに酷いのか? 原田の頭に不安がよぎる。
    小山主席(保安課長で看守長以上の階級者)が、原田を死刑囚拘置区へ案内しながら警告めいたことを言った。
  「原田部長、ここの勤務は大変です。毎日、緊張の連続です。耐えきれずに辞めた職員も多い。まあ、勤務すればすぐわかる。くじけずにかんばってください」
    死刑囚拘置区は、刑務官の特殊な勤務場所である。受け持ち区域の死刑囚の日常生活を管理し、また、刑の執行命令が下れば、その者の死刑に立ち会い、執行するのである。職員は日々、多大なストレスを抱えて勤務していた。
    死刑囚の処遇は、その者が心情の安定を得られるように留意するよう、新法第32条で規定されている。死刑囚は在監者中、一種の最も法律的地位の高い受刑者であり、刑の執行に至るまで身柄の確保以外は比較的自由であり、その制約を課せられない。
  「死刑囚は、死を待つ特殊な状況です。日常、彼らの精神的動揺と苦悩は、我われには想像を絶するものであり、人道的観点からも心情の安定に十分配慮してください」

「真夜中の看守長 ルナーミッション」 (河村龍一・著 77~78ページ) より


刑務所で刑に服している者の中には、犯した罪の大きさに気付いて悔悟の毎日を送る者もいるだろう。しかし、まったくその罪を反省しない者がいても何らおかしくない。
 
8名の児童の生命を無残に奪った元死刑囚・宅間 守は、被害者に対する贖罪の姿勢をまったく見せなかったという。そういう者が死刑を執行されずにいつまでも生かされるということは、遺族にとってはとても容認できないはずだ。
 
死刑廃止を主張している菊田幸一弁護士は、どんなに残虐非道な犯罪者であろうとも、そういう者と共に生きる社会こそあるべき社会だと言うが、愛する者を無残に奪われた遺族にとってその主張はとても理解できるものではない。

 
ある刑務官は、来る日も来る日も、したたかな受刑者たちの愉快な日常を見ていると、犯罪被害者が浮かばれないと感じます。拘禁しているだけでも十分に刑を与えているとする考え方もありますが、私は素直にそうは思えませんと言う。 
 
死刑執行を命じられる刑務官にとってその職務執行は、心理的に大きな負担になるものかもしれない。しかし、拘置所に勤める刑務官にとってはそれが仕事である。自らに与えられた職責を全うできないとなれば辞めて貰うしかない。 

刑務官の本分と本音
http://mayonaka-kansyutyou.blog.so-net.ne.jp/2012-10-27-1 
 
刑務官の仕事の厳しい現実 
http://mondai-kaimei2011.blog.so-net.ne.jp/2012-07-09-2

 

            

 

刑務官の職務執行に関する訓令

http://www.moj.go.jp/content/000003068.pdf

刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律

http://tamutamu2011.kuronowish.com/keijisisetuhou.htm

 

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