夜間勤務の信じられない実態 [公務員]
かつて刑務所や拘置所における夜間勤務は、大きな問題を抱えていました。それは、夜間勤務する職員に刑務官としての意識が欠如していた者がいたということです。そういう職員は刑務官としての適性に欠けるとして早々と辞めさせるべきですが、そうすると施設の運営に必要な最低限の職員を確保できなくなります。そのため、そういう問題のある職員であっても現職として勤務することができました。
2001年から2002年にかけて名古屋刑務所においてとんでもない職員の不祥事が起きました。そのことから監獄法の廃止・新法の施行となりました。現在、夜間勤務の問題点は改善されているのか、退職して10年が経った私は知る由もありません。しかし、目に見えない問題点は依然として存在するのではないかと思えてなりません。
宮城刑務所長や東京矯正管区長を歴任された小野義秀氏は、その著著 「矯正行政の理論と展開」 で夜間勤務の問題点を的確に指摘しています。
小野氏が指摘している点で見逃せないのは、夜間勤務が特別な資質を必要としない、もっぱら配置上の「員数」のみが問題となる低度の勤務とみられてきたところに夜間勤務者の意識を低下させ、それがさらに夜間勤務者に対する管理者の評価を下げることになったという点です。
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深夜の勤務のほとんどは管理者の眼には触れません。深夜の舎房で巡回もせずに居眠りをしていても事故さえ起きなければその勤務自体が表面化することはありません。しかし、その一方でどんなにこまめに巡回していても受刑者の異常に気付かない場合もあります。その場合は、職責を問われかねません。つまり、どんな勤務をしていたかというよりも結果だけが重視されます。
真面目に勤務してもいい結果を残せる訳ではありません。同時に手抜きの勤務をしていても悪い結果を招くとは限りません。これではまともに勤務するのが馬鹿馬鹿しくなるのは当然です。私は、とんでもない勤務の実態を実際に目の前にしています。噂話でそういう事例を聞いたことはありましたが、現実にその場に出くわしたときはさすがに驚きました。
監視カメラや巡回記録システムが整備されることになった背景にはそういう、いい加減な勤務の実態があったはずです。果たして夜間勤務の管理体制が整備されて以降、問題は解消されたのか、部外者となった私にそれを知る術はありません。腹立たしい限りです。
「三金会雑記」99号の原稿提出 (2)
http://blog.goo.ne.jp/tengoro7406/e/1ac55718bc3fbc0392c4ae618a942184
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