刑務所と地域社会の関わり方   [情報]

刑務所の役割り

小野義秀氏は、その35年に及ぶ矯正業務の最後を東京矯正管区長として奉職されました。今、伊豆高原の地において自然の恵みの中でその余生を送っておられます。⇒ ブログ「伊豆高原シニア・ライフ日記」

小野氏が35年間に発表した論文や随筆をまとめたのが「矯正行政の理論と展開」です。そのあとがきには今日においては既に解決されてしまったもの、事情が変わってその切実さを失ったもの、法改正の暁にはその意味を失うものなどがあり、今更改めてことごとしく出版するのはいかがかと思われ、出版に踏み切るには忸怩たる思いもあったとあります。

小野氏が退職されたのが1990年(平成2年)。それから23年の歳月が流れました。確かに矯正を巡る環境は大きく変わりました。しかし、小野氏が問題提起したことは今なお生きています。矯正の過去を知ると同時に、将来の在り方を探るための貴重な記録といえます。

地域社会と刑務所

 

刑務所に関する報道機関の取材などに当たっても、拒否的ではないにしても臆病ともいえるほどに慎重です。こうして、刑務所は、自らを閉ざし地域社会の無関心や誤解に対し、積極的な手をうつことを怠ってきたとも言えます。

 

(中略)

 

全国における脱走事件は年間10数件であり、その数は世界的には驚異的な少なさなのですが、ともあれ、脱走によって地域社会は犯罪の脅威にさらされる訳ですからこれを機会に刑務所に対する反感や不信が高まったとしてもやむをえないことです。

 

しかし、刑務所の移転改築に対する地域住民の反対運動は本当に困ったことです。(中略)しかし、この反対は説得されねばなりません。刑務所は地域社会にとっても無くてはならないものであり、その存在は他ならぬ地域社会自身のためにあるのですから―。そして刑務所の中味が社会のゴミタメではなく、社会人に再教育し、再訓練するための学校であることを地域住民が知ってくれさえすれば、このような反対運動は起こらない筈だと思います。

 

刑務所は、決して恐ろしいところではなく、穢れたところでもなく、実は地域社会において仲間だった人達が、その失敗を二度と繰り返さないための努力をしている修養の場所でもあることを、地域社会のすべての人達に知って頂きたいと思います。そして、刑務所に対して、このようなコンセンサスが得られるならば、少なくとも犯罪を生み出す一つの芽は摘みとられたことになると思います。

 

 (「犯罪と防犯」第29巻第7号・昭和51年7月)

「矯正行政の理論と展開」(小野義秀・著)より

ごみ処理施設は「迷惑施設」?

http://blog.livedoor.jp/odarieko/archives/4886728.html

震災がれき受け入れ 賛成と反対、それぞれの理由

http://www.data-max.co.jp/2012/03/22/post_16441_dm1718_1.html

        

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