文学賞コンテスト商法の内幕 [ブログ]
「さっき若い人が言ってたんですけど、私の作品、編集部内での評価が一番高かったそうじゃないですか」
「難しいです。ですが、板垣さんの作品は審査員特別賞となっています」
「今、ここで申し上げるわけにはいきません。来月、弊社のホームページで発表されます」
「ですから、先ほど申し上げたように、私どもが一番推したのは、板垣さんの『パーフェクト・フリー』です」
「そうでしょう」と板垣は言った。「何とか大賞を受賞することはできないんですか?」
牛河原は苦笑した。大賞に選ばれるのが当然と思っている。ごく稀にこういうのに当たるが、この手のタイプの客に金を払わせるのはなかなか大変なのだ。
「板垣さん―」牛河原は低い声でゆっくりと言った。「賞に関してはすでに決定事項です」
牛河原が提案したのは、著者が出版費用の一部を負担する、いわゆる「共同出版」というものだ。本が数万部売れればその費用は楽に取り戻せると、牛河原は客を説得する。しかも、その本がきっかけとなってベストセラー作家となることも夢ではないと言う。
牛河原の説得は、客の自尊心をくすぐり、もしかしたらという期待を抱かせる。しかし、無名の著者の本が数万分も売れるはずがない。まさにそれは、宝くじに当たる確率よりも低い。
審査員特別賞は、選外となった著者に本を出版する道があるという口実のためのものだ。かつて、ある出版社は、年間30回以上も文学賞コンテストを開催していた。しかし、受賞者の大半は実在しなかった。
その出版社はホームページで受賞者の名前を公開していたが、それは架空のものだった。美味しい餌をちらつかせて客(著者)を捕まえるのは自費出版会社の常套手段である。迂闊にその口車に乗らないようにしたい。
私が「共同出版」を断った理由
http://www.kobeport.net/rental/nakano/1.html
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勧誘を断った人に対しても、「(出版すれば)印税が入ってくるので支払いに充てられる」「他の方もそうしています」などとしつこく再勧誘していたほか、「添削だけなら21万円で済む」などウソの告知までして強引に契約。同社の社員によれば、実際に同社で自費出版しても大半は初版(300部~500部)止まりであり、1千冊以上売れた人でも、印税収入は数万円に過ぎなかったという。
by NO NAME (2014-08-10 23:11)
こんなやり方、誰が考えついたのか知らないが、大方の世間様はこんなふざけた実情であるとは夢にも思わなかったに違いないと思います。
このクンちゃんもホント信じられない思いなんです。そして、ふと気づくと、この世間をあざむく醜悪な“方法”は、ひょっとして「脱法」にとどまってしまうのではないかという危惧にとりつかれているきょうこのごろです。
by クンちゃん (2014-08-10 23:40)
それにしても自費出版社の賞に入選して無料での出版を果たした本で、ヒットしたものはどれ位あるのだろう?
ほとんどないのではなかろうか。商業出版社なら「新人の書き手の発掘」を目的にコンテストを行うのは分からなくもないが、自費出版社の場合はお金をかけて新人発掘する必要性などないわけで、コンテストなど所詮「客寄せパンダ」でしかない。
違法行為に当たらなければ嘘も平気でつくという会社には、倫理観のかけらも見いだせない。こういう会社の広告を平気で出しているメディアはどう思っているのだろうか?
本来ならマスコミこそがこういう不正を糾弾し広告掲載を断るべきだが、「違法行為でなければ問題にできない」と開き直るのだろうか。
by 客寄せパンダ (2014-08-12 23:16)
「あのカネを鳴らすのはあなた」(和田アキ子)ならぬ、「あのカネを取り戻すのはあなた!」
by NO NAME (2014-08-14 11:27)