セーフティネット化する刑務所   [情報]

進む受刑者の高齢化

 

現在、日本の高齢者(65歳以上)は3074万人(総務省推計、前年比102万人増)。25年後には国民全体の約3分の1が高齢者になると予測されています。

 

この高齢化の波は刑事施設にも押し寄せています。刑期を終えて社会に戻っても仕事がないことから再び罪を犯して刑務所に戻ってくる高齢者が少なくないといいます。若くても仕事がないというのに、刑務所を出た高齢者に仕事がないのは無理もないことです。だからこそ、刑務所において高齢化が進むのは無理もありません。

 

禁固刑の者でも希望すれば指定された仕事をすることができますが、懲役刑の者は仕事をすることが刑そのものです。しかし、日常生活を自力で行うことができず、他の者の介添えを必要としている高齢者も少なくないといいます。そういう者は、課せられた仕事ができないばかりでなく、食事を終えたばかりなのに食事の要求を繰り返したり、要求が受け入れられないと泣きわめいたりする者もいるといいます。中には、食器であれ布巾であれ、口に入れることのできるものは何でも(汚物でも)口に入れる者もいるといいます。

 

社会においては「要支援・要介護」という公的サービスを受けることができますが、刑事施設ではそういうサービスを受けることはできません。専門の介護福祉士やケアマネージャーがいないため、介護に不慣れな刑務官やそれを補助する受刑者がそのような者の一切の世話をしています。医療スタッフにその業務を引き継ぐのは病状がさらに悪化した場合のみです。

 

自分で身の回りの世話ができない人の世話は、その近親者に極めて過重な負担を強います。そのため、介護心中という悲しい事件も起きてしまいます。

 

刑事施設においても刑務官や医療スタッフの負担は、並大抵のものではありません。あまりにもそれが大きいために本来の業務に大きな支障が生じているといいます。刑務官の本来の業務は、刑の執行を見守るということです。しかし現実には、受刑生活を送っているという自覚ができない状況にある者の身の回りの世話をしている状況にあるのです。果たしてこれは、刑の執行のあり方として問題はないのでしょうか。

 

こういう刑事施設の現状に対して、介護制度の導入を図るべきとか、介護施設並みの設備やスタッフを導入すべきとかいう声があるかも知れません。しかし、罪を犯した者に社会並みのサービスを受けさせることには反対する声もあるのではないでしょうか。

 

悪いことをした者が万全な医療や介護のサービスを受けられる社会が果たして望ましい社会なのでしょうか。受刑者の生活のレベルをどこまで高めるべきか。これは刑事政策上の大きな課題でもあります。

 

再犯の背景にある刑務所の快適な(?)生活

http://heinonaka2012.seesaa.net/article/279990967.html


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