知られることの少ない刑務官の激務   [ブログ]

公開が憚られる塀の中の実態 

私が現職の刑務官で勤務していた頃、時々、裁判官や検事などのタマゴといわれる司法修習生たちが刑務所に参観に訪れたのであるが、刑務所側ではあらかじめ、無難な参観コースを決めておき、『治安の最後の砦』としてふさわしくない場所は参観コースから外していた。   

裁判官や有識者は、塀の内外を問わず『裏の世界』『汚い世界』そして『真実の世界』について、ほとんど知る機会がない。犯罪者たちは狡猾である。彼らの法廷での顔と、塀の中での顔はまったく別人の顔である。海千山千の彼らが、きれいごとの世界だけで生きてきた社会のエリートなど騙すのは、赤子の手を捻るようなものである。   

本作の執筆中、富美子さんのホームページ上に掲載されていた利恵さんの写真に何気なく視線を移した瞬間、あまりにも明るい笑顔であったため、彼女が無残な末路に至った事件の経緯を思いうかべた時、そのギャップの大きさに次第に目頭が熱くなり、写真を正視できなくたってしまった。   

司法は、この写真に写っている被害者が受けた恐怖と苦痛、深い無念と絶望など全く考慮せず、残忍な犯行に及んだ加害者たちの命を救済し、彼らの人権まで保障したのである。   

逆に、遺族の母親の残された人生を奪ってしまったようなものだ。永遠に癒されることのない遺族の恩讐の彼方に、明るい展望を見いだせるとでもいうのだろうか。

以上、闇サイト殺人事件の遺言 (河村龍一・著 53~54ページ) より   
 
「無期懲役囚の実態」とか「これが交通刑務所だ」とか、テレビで塀の中の様子が放映される。その中には、受刑者がインタビューに答えるものや、非常ベルが鳴って現場に刑務官が駆けつけるものもある。こういうものをテレビで放映するということは、視聴者に刑務所に対する理解を深めて貰い、受刑者の社会復帰に寄与することを意図している。

また、同様の意図で刑務所を参観するという道も開かれている。法曹関係者だけでなく、一般の人でも参観することはできる。しかし、参観にしてもテレビでの放映にしても絶対に公開されないところがある。それこそがまさに、「『治安の最後の砦』としてふさわしくない場所」である。  
 
絶えず奇声を発している受刑者や、汚物を部屋中にまき散らすような受刑者のいる舎房は、まず公開されない。公開されるのは、まさに刑務所にとって「無難な」ところだけである。「これは問題ではないか」と指摘されるようなところが公開されることはあり得ない。
 
しかし、公開されることのないところで多くの刑務官は厳しい勤務を強いられている。2006年5月24日、「監獄法」に代わって「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」が施行された。それ以降、さらに状況は厳しくなったという。そういう厳しい状況の中で、多くの刑務官は歯を食いしばるようにして職務に励んでいる。

塀の中の厳しい現実
http://heinonaka2012.seesaa.net/   
 
犯罪被害者遺族の願い
http://mayonaka-kansyutyou.blog.so-net.ne.jp/2013-11-16-3 

 
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