呆れた言い訳   [フィクション]

開いた口が塞がらないお粗末な話

   

AさんとBさんは、共通の目的のために協力しながらそれぞれの道を歩いていました。ところがある時、ある行き違いがあって二人の間に溝ができました。原因は、AさんがBさんの間違いを執拗に指摘したことにありました。

  

二人の関係に上下はなく、あくまでも対等の関係でした。そこで二人は、メールでお互いに思う事を遠慮なく言い合っていました。しかし、Bさんは、表面上はAさんの指摘を受け入れていたのですが、あまりにもその指摘が厳しいものであったためにそれを素直に受け入れられなくなったのでした。そこで、BさんはBさんなりの言い訳を試みました。

   

しかし、それでもAさんの指摘は止まりませんでした。Aさんは、Bさんのためを思ってその間違いを指摘していたのですが、Bさんとしてはそのプライドが傷付けられたと思うようになりました。

  

そこで、Bさんは、Aさんの執拗なメール攻勢のために体の調子を壊したと言いだしました。そのため、メールでの交信も当分中止すると言いだしました。

  

Aさんとしては、思う事を正直にメールしただけでした。それはお互いに了解していたことでした。メールのいいところは、相手の都合を邪魔しないというところにあります。メールが届いていたとしてもすぐに返信する必要はありません。都合のいい時にメールをチェックし返信すればいいのです。緊急に返事が必要な場合は電話という従来からの方法があります。

  

ですので、Aさんは、Bさんから急いで返信を貰う事を少しも要求はしていませんでした。「都合のいい時に返信ください」と何度も言っていました。しかし、Bさんは、そのメールをよく読みもせずにすぐに返信していました。そのためにその返信は要領を得ないことが多々ありました。

  

そのため、Aさんは、その要領の得ない点についてさらに指摘しました。こういうことの繰り返しであったためにBさんとしては、Aさんからのメール攻勢で体調を崩したと言いだしたのです。

  

あるときBさんは、「緊急に入院することになりました。今後一切メールしないでください。手紙もお断りします。万が一のことがあった場合、どう責任を取ってくれるのですか」というメールをAさんに送って来ました。

  

Bさんが体調を崩したというのは事実でした。手術を要する大病を患っていたのですが、その原因をBさんはAさんのせいだと言っていたのです。Aさんとしてそれは聞き捨てならない事でした。

   

Aさんは何度も、メールの返信はいつでもいいですよと言っていたのです。それなのに、Bさんは、すぐに返信するのがマナーだと思い込んでいました。しかも、Bさんはメールをよく読みもせずに返事をしていました。

     

忙しいからじっくり読んでいられないというのが決まり文句でした。 しかし、メールをよく読まずに返信するということは、相手の話していることをよく聞かずに反論しているのと変わりません。

     

電話で話す場合は、その時はわかったつもりでいても後になると記憶に残っていないということがあります。そのためAさんは、電話よりもメールや手紙で用件を伝えることを重要視していました。メールや手紙なら何度でも読み返すことができ、それがそのまま記録として残るからです。

   

そういうメールのやり取りをしている中でAさんは、Bさんの言っていることに不信を抱くようになりました。すなわち、事実でない事を事実であるかのように装っていることがあるのではないかと思うようになったのです。その点を問い詰めると、Bさんは「どうして私が嘘を言う必要があるのですか」と言って反論しました。

  

人は誰でも必ずしも事実を言うとは限りません。嘘と認識していなくても勘違いして事実と反することを言うことは十分あります。それなのに、Bさんは「私は嘘は言いません」と言っていたのです。

  

しかし、このBさんの言うことが嘘であったことがある時、思いもしない事から判明しました。それは、 ・・・ ( 続く 

                  

小説作法十則 芥川龍之介

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